高血圧

高血圧は頭痛などの症状がある場合もありますが、無症状で健診で指摘されることも多いです。血圧が高いまま放置していると重大な病気のもとになります。

血圧とは?

血圧とは文字通り血管内の圧力のことです。血圧は、心臓が収縮して血液を押し出すときに高くなり(=収縮期血圧=上の血圧)、拡張して血液の流れが緩やかなときは低くなります(=拡張期血圧=下の血圧) 。血圧は常に変化します。運動や緊張したりするだけで上がります。冬は高く、夏は低くなることが多く、朝の目覚めとともに血圧は上昇し、睡眠中は最も低くなります。

高血圧は何が悪いの?

高血圧を放置すると血管や心臓に負担がかかり、動脈硬化や心臓肥大が進みます。その結果、脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈瘤、腎不全など、多くの循環器病が起こります。頭痛、だるさ、めまいなどの症状がある場合もありますが、多くの場合は症状がありません。ですから、健診などで早めに見つけて治療をすることが大事です。

いくつから高血圧なの?正常値は?

140/90mmHg 以上は高血圧です。正常値は130/80mmHg 未満です(昔は140以下は正常と言われていたこともあり、140ちょっと超えるくらいはまあいいやと思っている方がまだ多くおられますが、10年以上前から基準が変更となり、最新の2025年の高血圧治療ガイドラインでも130/80未満が正常となります)。正常の中でも120/80mmHg未満が心臓病や脳卒中の危険が最も低い血圧だと言われています。130~139/80~89mmHgは正常ですが、高値血圧と言って注意が必要です(いわゆる’’血圧高め’’ってやつです)。

高血圧の患者さんはどれくらいいるの?

我が国には4,300万人いると言われています(国民の3人に1人)。80歳以上の高齢者では5割を超えると言われています。つまり高齢者では2人に1人は高血圧です。

高血圧の原因

明らかな原因は特定されていませんが、塩分過剰摂取をはじめとした生活習慣によるもの、遺伝によるものなど様々な要因が考えられています。

※高血圧患者さんの一部は腎臓や体のホルモンの異常で血圧が高くなっていること(これを二次性高血圧と言います)があり、治療開始前に主に血液検査で二次性高血圧の検査をすることがあります。

高血圧の治療目標

治療の目標はもちろん血圧をさげることですが、血圧をさげて心血管病にならないようにすることです。(心筋梗塞になれば突然死、脳卒中になれば半身まひで寝たきりになってしまったりします。)

治療目標数値は 診察室  130/80mmHg 未満 家庭血圧  125/75mmHg 未満となりますが、当院では皆さんに一律でわかりやすいようにまず130以下を強調しています。以前は75歳以上の高齢者では少し甘めの目標設定をしていた時代もありますが、最新の2025年ガイドラインでは足腰がしっかりしていて自分で生活できる元気な高齢者で特に糖尿病、脂質異常症をお持ちの方やすでに心臓病、脳卒中の既往がある方にはしっかり降圧目標を達成することが推奨されています。

血圧をさげるとどんな効果があるのか?

脳心血管病の発症・進展・再発の抑制と脳心血管病による死亡率の減少が得られます。具体的に収縮期血圧が10mmHg低下または拡張期血圧が5mmHg低下すると死亡率は10-15%低下、心臓病の発作が20%低下、脳卒中が30-40%低下すると言われています。高血圧はその他に腎機能の低下(ひいては人工透析治療)の原因にもなり、治療することで腎機能を維持することもできます。

高血圧治療にあたって注意しなければいけないこと

収縮期血圧が160以上の患者さんはすぐに薬物治療を開始すべきと言われています。糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙中、腎臓病の患者さん、すでに脳卒中や心臓病をお持ちの患者さんはより厳格にそして早期に治療目標の達成を目指すべきです。その他健診で高血圧の他に心電図異常(心臓肥大、心房細動など)や蛋白尿、眼底検査異常がある場合はすでに高血圧による体の異常が出始めている可能性があり、早期の治療が必要になる場合があります。

高血圧と塩分

塩分の過剰摂取は高血圧と関係があるのはよく知られていますが、心臓病になる危険が高まり死亡率を上昇させるとも言われています。高血圧において塩分制限はお薬の治療と共に重要な治療であり、減塩目標は6g/日以下と診療ガイドラインに記載してありますが、しかしその目標を達成することは簡単ではありません。

日本人はもともと全体的に塩分が過剰な食生活をしており、厚生省の調査では昭和40年代では17-18g/日、平成20年ころは11g/日、令和元年は 10.1g/日というデータがあります。徐々に国民の減塩に対する意識は高まってきています。 日本人に昔から高血圧が原因の脳卒中が多いと言われていた主要な原因は塩分過剰摂取と言われています。

塩分の多い食事の例

★ つけもの(たくわんやキュウリ3切れ) 1-1.5g

★ みそ汁 1杯 1.5-2.0g

★ カップラーメン 5g

★ 長岡の濃いラーメン 6-8g 

★ あじの開き 1.5g

減塩の基本はこれらの食事を控えることになりますが、うま味、酸味、辛味などを利用(醤油→ポン酢に変更、 酢やレモンなどを使う、ダシをきかせる、唐辛子、マスタード、しょうが、にんにくなどを使用)するのもおすすめです。最近は減塩調味料(減塩醤油、減塩味噌)も多くなってきたので、それらを取り入れるのもポイントです。適度な焦げ目で香ばしさをつけたり、ごま油やオリーブオイルなどを使用するのもよいかもしれません。

減塩の他にカリウム摂取もオススメです。カリウムは塩分(ナトリウム)の血圧上昇作用に対して、血圧を下げる方向に作用します。塩分が多めの高血圧患者さんはカリウムの摂取で降圧が期待できます。カリウムは生野菜、果物に多く含まれていますので積極的に摂取しましょう。

※カリウム摂取の注意点として腎臓が悪い方はカリウムとりすぎると不整脈が起こることがありますので注意が必要です。必ず医師に確認してください。糖尿病を合併している方は果物はカロリー過多になる可能性があります。血糖コントロールが思わしくない方はよく相談の上で摂取してください。

その他の生活習慣改善のポイント

運動は有酸素運動が効果的です。有酸素運動とはウォーキングなどのように酸素を体に充分取り込みながら行う運動です。1回30-60分で週3回以上が理想ですが、少しずつ自分のペースで始めてみてください。(※血圧が高すぎると運動は逆に有害になることがあるので運動の際は相談ください)

アルコールは量、頻度やしょっぱいおつまみのために血圧があがったり、さがったりします。適量を守り、休肝日(週2回程度)を設けることが大事です。適量とは… ビールなら中びん 1本 焼酎なら100ml 日本酒、ワインなら1合(180ml) ウイスキーならダブル1杯程度です。                 

タバコは高血圧同様脳卒中、心筋梗塞のリスクを上昇させ、リスクを更に2-4倍にあげてしまいます。タバコは百害あって一利なし、当院では禁煙外来も行っていますので興味ある方はスタッフまで相談ください。

肥満の方は高血圧になりやすいことがわかっています。一方で、減量だけで5mmHg以上の降圧が期待できます。減量をするために食事、運動は大切となります。

患者さんへ:

高血圧は脳心血管病(脳卒中および心疾患)の最大のリスク因子ですが、適切に血圧コントロールすることで脳心血管病による死亡率を抑制できることが多くの研究で示されています。治療では薬をのみつづけなければいけないことも多いのも事実ですが、減塩や運動など生活習慣の改善で数値が改善することもあります。最近では治療アプリなどの選択肢も増えてきています。見て見ぬふりであとで後悔しないように、気になる方は一度ご相談ください。一緒に心臓病、脳卒中を予防していきましょう。